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食品に混入する虫、ユスリカ
食品工場には多種多様な虫が侵入して来ます。また、内部で繁殖する虫もいます。このシリーズでは、これらの虫の中でも、特に数が多かったり、しばしば異物混入の原因となる虫を選んで、その生態を分かりやすく解説します。第1回目はユスリカです。
ユスリカとは
ユスリカ:外部から侵入して来る虫の中で、おそらく最も数の多いのはユスリカでしょう。工場における昆虫モニタリング調査のNo.1の常連です。一口でユスリカと言いますが、日本国内だけでも1,000以上の種の生息が確認されている大きなグループです。ユスリカの外見は蚊に似ていますが、スリムな蚊に比べてもさらにほっそりとして弱々しい印象を受けます。ちなみにユスリカという名称は、幼虫が体をゆすって運動することに由来します。成虫の大きさは体長が2mmに満たないものから最大の種でも1cmを少し超える程度の小虫です。蚊は悪名高き吸血昆虫で、ウィルスや寄生虫などの病原体を媒介しますが、幸いユスリカには吸血する習性は全くありません。ただ、発生数があまりに多いため、飛来侵入昆虫として、また異物混入昆虫として大きな被害を与えているのです。
ユスリカの生態
幼虫はほぼ例外なく水系で繁殖します。種によって流水を好むもの、停滞水を好むもの、清冽な水から発生するもの、汚濁した水から発生するものなど、あらゆるタイプの水系が何らかのユスリカの発生源となります。工場内部の廃水処理施設や側溝から発生するケースもあり、このような場合は屋内繁殖昆虫ですが、基本的には湖沼、河川などで発生し、羽化した成虫が工場に入ってくる外部飛来性昆虫と位置付けられます。富栄養化の進んだ湖沼や河川では極端な高密度で繁殖し、このような水系の近くにある建物には、羽化した成虫が大挙襲来し、外壁や窓にびっしりと貼りつき、大きな不快感を与えます。
ユスリカも他の昆虫と同様、春から秋にかけて羽化する種が多いですが、なかには冬が成虫の活動期となっている種もあり、1年中飛来が見られます。昆虫の多くは、地面から数m以下の低空を飛翔しますが、ユスリカの中には10m以上の高空を飛ぶ種がかなりあり、不用意に開け放たれた高層階の窓や屋上の換気口から、大量のユスリカが侵入したケースは決して珍しくありません。
対策方法
ユスリカはドア、シャッター、窓、換気口や、小型種では建物外周のごく小さな隙間からも建物内部に侵入し、飛翔分散して衰弱・落下します。落下場所が工場の製造・充填・包装ライン上なら異物混入の原因となります。ユスリカ成虫の寿命は自然環境下で1週間程度、屋内に迷入してしまった個体は大部分1日以内に死滅します。
成虫の活動時間は、種により昼行性、夜行性、薄明・薄暮性と様々ですが、大きな被害を与える種のほとんどは夕刻から夜間に活発に飛翔し、照明に誘引されて建物に接近し内部へ侵入するというパターンを示します。したがって被害を軽減するためには、日没後のシャッターやドアの開放をできる限り抑制したり、照明には昆虫の誘引の少ない紫外線をカットした光源を使うといった対策が有効です。
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